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稲門法曹会メールマガジン 第31号 No.2015-06

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   稲門法曹会メールマガジン No.2015-06
                   2015/6/10 第31号

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┏━ Index ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃● リレーエッセイ
┃○ 修習生だより
┃● カンボジア便り ~最終回~
┃○ 司法試験短答試験結果速報
┃● キャリア支援プロジェクトのご案内
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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  リレーエッセイ
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 1. はじめに

   稲門法曹会の皆様、はじめまして。66期弁護士の若林智美と申します。

   私は、早稲田大学大学院法務研究科を修了後、2014年4月から第一東京
  弁護士会に所属し、製薬企業において企業内弁護士として働いております。

   企業内弁護士の業務がどういったものかを紹介する機会として、このエッセ
  イのお話をいただきましたので、ご報告させていただければと思います。

 2. 業務について

  (1)日々の業務内容

   企業の法務部では、契約書をレビューする業務が多いというイメージがある
  と思いますが、ご想像通り、この業務は大きな割合を占めます。

   入社前にあまり予想していなかった業務としては、社内研修業務が挙げられ
  ます。

   社内研修は、それぞれの部署の業務内容に合わせて行われており、例えば営
  業担当の部署に対しては、派遣法や独占禁止法、研究所に対しては、秘密保持
  契約や共同研究契約といった内容を扱っています。

   研修の後に質問を受け付けますと、なかなかはっきりと答えを出せない現場
  の悩みを感じる内容が多く、とても勉強になります。

  (2)この1年で楽しかったこと

   企業内弁護士の魅力としては「現場に近い」「紛争予防に関わることができ
  る」ということが聞かれます。

   確かに、昨年の業務の中で楽しいと感じたものの1つは、交渉の場面に立ち
  会えたことでした。それほど大きな交渉ではなかったのですが、些細だと思っ
  ていた要素で、がらっと交渉の流れが変わるという瞬間を味わうことができ、
  生き物を扱っているようでした。

   また、紛争解決方法としては、別の商品で新たなビジネス関係を構築する
  という、未来がある方法を見て、嬉しくなったこともありました。

   反対に、どの法律構成でいくと筋がよいかといった、純粋な法律論を考え
  る機会は減ったため、稀にそのような事案に出会うと、懐かしくなることも
  あります。

  (3)会社で働く上で重要だと感じること

   働き始めて僅か1年ほどですので、いずれも当たり前のことかもしれませ
  んが、企業内で法務の仕事を行う上で重要だと感じたことは、2点あります。

   1点目は、法律の知識と同程度に、会社の組織構造や各部の業務内容、人
  事構成といった会社内部の勉強が大切であるということです。

   2点目は、法律論としての正確性が問われていない場面もあるということ
  です。きちんと順序立てて説明したいと思うこともありますが、それは自己
  満足であり、相手の業務内容や状況に合わせて求められていることだけを簡
  潔に説明しなければならないと感じます。

   まだまだ分からないことが多いですが、楽しみながら、目の前の問題に丁
  寧に取り組んでいきたいと思います。

 

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  修習生だより
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                       第68期司法修習生 菊間智浩

  はじめまして。第68期司法修習生(本研究科未修コース2014年修了)の菊間智
 浩と申します。現在は長野において司法修習を行っております。

  修習地選択時、長野の地には特に縁もゆかりもなく、長野を修習地として希望
 した理由は関東近郊であるからというものでした。しかし、長野に来てから数か
 月も経たないうちに長野の様々な魅力に触れ、来てよかったと感じるようになり
 ました。

 1 長野のいまについて

  現在、長野は7年ぶりの善光寺御開帳で大変賑わっています。善光寺の御開帳
 とは秘仏であるご本尊の御身代わりである前立本尊の御姿を7年に1度だけ拝む
 ことができる法会です。

  前立本尊の御手と「善の綱」によって結ばれた回向柱に触れることでご利益を
 得ることができると言われており、休日には順番待ちの参拝者で境内が埋め尽く
 されるほどです。

  また、長野には名産品も多く、私が最も感動したのが、日本三大そばの一つ
「戸隠そば」の美味しさです。長野に来るまでは圧倒的うどん派だった私ですが、
 戸隠そばの香り、ほど良いコシ、そばつゆの美味しさにすっかり魅せられてし
 まいました。

  市内にも、美味しいそばを食べることができる名店が数多くありますので、
 長野にお越しの際にはぜひ召し上がっていただきたい一品です。

2 長野における実務修習について

  そんな長野の地で私は現在、検察修習、刑裁修習を経て、第3クールの民裁
 修習を行っています。民裁修習の中で改めて感じたことは、私人間の争いを訴
 訟という形に組み立てる法曹のスキルの重要性でした。

  民裁修習では多くの訴状を見せていただきましたが、中には訴状としての体
 をなしておらず、被告に対する誹謗中傷で終わっているものや被害についての
 請願書のようなものも見受けられました。

  前者はともかく、後者は記録から原告の辛さが伝わってくる分、それを訴訟
 という場で主張する形になっていないことに非常にもどかしさを感じました。

  後は求釈明などで主張を明らかにするという手もなくはないですが、やはり
 入口から弁護士が組み立てることでその後の手続が円滑に進みますし、それ以
 上に身近にそのように組み立ててくれる弁護士がいれば紛争解決手段として訴
 訟が利用しやすくなるだろうと思われます。

  これから法曹となる私達は目の前の事件に真剣に取り組むだけでなく、潜在
 的な紛争を汲み取り解決に導いていく、そんな役割も求められているのではな
 いかと感じました。

  ちょうど司法修習も折り返し地点に差し掛かりましたので、今一度この貴重
 な機会に何を身につけられるかを真剣に考え、一日一日を大切に過ごしていき
 たいです。

 

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  カンボジア便り ~最終回~
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  皆様、こんにちは。早稲田大学大学院法務研究科修了生の一色翔太です。
 今回もカンボジア便りをお送りして参りたいと思いますので、もしお時間が許す
 ようでございましたらお付き合いくださいませ。
  本日は、カンボジアで日本法を学び、それを教える人々についてご紹介しよう
 と思います。

  プノンペンにある王立法律経済大学には、日本法コースがあります。
 このコースは、日本語を2年間勉強したのち、残り2年間で日本法を学ぶという
 ものです。

  カンボジアの東大的存在である、王立プノンペン大学の日本語学科が4年間で
 日本語を学ぶのに対し、本コースは同様の内容を2年間で行うスパルタぶりです。

  しかも、残り2年は外国法である日本法を外国語である日本語で学ぶという、
 これまた荊の道。その上、単位認定も王立プノンペン大学よりも厳しいとなれば、
 本コースの厳しさが想像できるのではないでしょうか。

  現に本コースの1期生で、我々のインターン先の日系法律事務所でスタッフと
 して働いている方がいるのですが、彼女は、日本法の確かな知識と、ビジネスメ
 ールをそつなくやりとりできる高い日本語能力を有する大変優秀な方でした。

  このコースを開講しているのが、名古屋大学法政国際教育協力センター、通称
 CALEです。CALEは、アジアの国々の法整備支援を行うことを目的として設立され
 た組織で、アジア各国の大学に日本の弁護士を派遣し、法教育を行っています。

  カンボジアにおいては、現在、王立法律経済大学に日本の弁護士2名が派遣さ
 れ、その方々がコース受講生のカンボジア人学生に対して日本法を教えていらっ
 しゃいます。

  我々3人もご縁があり、特別授業をする機会をいだだきました。相手は4年生
 で、教えていらっしゃる先生と相談した結果、瑕疵担保について2時間半のコマ
 で授業をする運びになりました。

  授業準備をする間、日本民法とカンボジア民法における瑕疵担保の扱いの違い、
 学生の皆さんにどうしたらよく理解して頂けるかなど、3人で話し合いながら準
 備を進めたものの、どの程度理解してもらえるかについて当日まで不安はぬぐえ
 ない状態でした。

  しかし、いざ授業をしてみると、学生の皆さんはとても真剣な表情で我々の授
 業を聞き、時には我々も驚かされるような鋭い質問がいくつも出るなど、大変熱
 心に授業を聞いてくれました。

  カンボジアという異国の地で、異国の法を異国の言語で熱心に学ぶ学生の皆さ
 んの姿を拝見し、その頑張りに感嘆するとともに、我が身の不勉強を省み、もっ
 と真摯に外国語や外国法を学ぼうと誓った次第です。

  稲門法曹会の皆様におかれましても、カンボジアに行かれる機会がありました
 ら、ぜひ王立法律経済大学の日本法コースをお訪ね頂き、学生の皆様と交流を持
 って頂ければ幸いです。

  さて、半年に渡ってお送りして参りましたカンボジア便りでございますが、こ
 のたびめでたく最終回を迎えることとなりました。

  我々3人は、5月に帰国し、現在は日本でそれぞれ活動しております。カンボ
 ジアでの生活は、我々3人にとってほぼ初めての異文化との本格的な遭遇であり、
 法曹、非法曹を問わずアジアで活躍する多くの人々との出会いの日々でした。

  では、具体的になにがどう成長したのかと言われると、それを100%説明するこ
 とは今の段階ではできません。しかし、この経験が今後の我々の人生において重
 要な要素を占めることはほぼ間違いないのではないかと思います。

  稲門法曹会の会員の皆様におかれましては、半年にわたり、このような拙い文
 章にお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

  このたびの経験を胸に、早稲田ロースクールの標榜する「多様な法曹の排出」
 という命題実現の一端を担えるよう一同精進して参りますので、今後ともご指導
 ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

  それでは、失礼いたします。

 

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  司法試験短答試験結果速報
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  平成27年6月4日、平成27年度司法試験の短答式結果が発表されました。

  全体では、受験者数8,016人に対し合格者数は5,308人、合格率は6
 6.2%でした。短答式試験が3科目に絞られたものの、合格率自体は平年並み
 に留まったといえます。

  早稲田大学大学院法務研究科は、受験者数471人に対し合格者数は363人、
 合格者数では中央大学(合格者数372人)に次いで2位となりました。

  合格率では、本校は77.1%であり、8位となりました。合格率1位は予備
 試験合格者で、以下、2位京都大学、3位神戸大学、4位一橋大学、5位慶應義
 塾、6位中央大学、7位愛知大学、8位早稲田大学、9位東京大学、10位大阪
 大学と続いています。

  短答式結果の詳細は下記URL(法務省サイト)をご覧ください。なお、最終
 合格発表は、平成27年9月8日(火)の予定です。

        http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00114.html

 

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  キャリア支援プロジェクトのご案内
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  現在、稲門法曹会では、早稲田大学大学院法務研究科キャリア支援室と共同で、
 早稲田大学大学院法務研究科修了生と弁護士事務所様とのマッチングを図るべく、
 新規登録弁護士を対象とした求人情報を募集しております。

  いただいた求人情報は、同研究科修了生(司法修習68期)のみが登録された
 メーリングリストによって告知しますので、通常の一般公募に比べ、事務負担を
 抑えた効率的な採用活動を行うことができます。お陰様で、現在までに、68期
 司法修習生を対象に、13件の求人情報を掲載させていただいております。

  ご興味をお持ちの方は、下記FAX番号またはメールアドレス宛にお問合せ下
 さい。

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 稲門法曹会事務局・早稲田大学大学院法務研究科キャリア支援室 宛
    (FAX:03-3208-9604 )・(mail:tohmon-career@list.waseda.jp )

 上記企画に興味がありますので、以下の(□ 住所宛に □ FAX番号宛に
  □メールアドレス宛に)申込用紙をお送り下さい。

 事務所名:

 住 所:

 FAX:            メールアドレス

 氏 名:            登録番号        (    期)

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  ご支援・ご協力のお願い
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 本学の伝統を受け継ぎ、進取の精神をもって法のもとに正義を貫く志の高い優秀
な稲門法曹を一人でも多く育成することを念願し、法科大学院の学生のための奨学
金として「稲門法曹奨学金」を創設し、これまで支援を行ってまいりました。

 法曹として第一線で活躍されている校友および関係者に募金を呼びかけ、これま
で多額の浄財が寄せられております。稲門法曹の皆様の熱意に厚く御礼申し上げる
とともに、引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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      http://www.waseda.jp/flaw/gwls/alumini/support/

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【発行】稲門法曹会
  〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1 法務教育研究センター内
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