メールマガジン

稲門法曹会メールマガジン 第39号 No.2016-02

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   稲門法曹会メールマガジン No.2016-02
                   2016/02/10 第39号

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┏━ Index ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃● リレーエッセイ
┃○ 修習生だより
┃● 2016年度稲門法曹会総会・記念講演会・懇親会の日程が決まりました
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  リレーエッセイ
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                                      祐川 友磨

  67期弁護士の祐川友磨(すけがわ ゆうま)と申します。平成25年3月に
 早稲田大学大学院法務研究科を卒業し,(お米もお酒も魚も野菜も美味しい)新
 潟で約1年間の司法修習を行った後,平成27年1月から東京清和法律事務所に
 アソシエイトとして勤務しています。

  弁護士歴1年の私に経験豊富な読者の皆様を唸らせるような通常の業務に関す
 る記事は書けん!と割り切り,今回のリレーエッセイでは,私が参加している弁
 護団事件の紹介をしたいと思います。

  私が参加する南相馬避難解除問題弁護団は,「特定避難勧奨地点」の指定を受

けていた南相馬市の住民及びその周辺に居住していた住民計206世帯808名
 の原告を代理して,国が平成26年12月に行った同地点の解除の取り消し等を
 求める訴訟を行っています。

  平成23年3月に発生した福島第1原発事故に対処するため,政府は計画的避
 難区域等の区域指定を行いましたが,特定避難勧奨地点も,そういった区域の一
 種で,「計画的避難区域や警戒区域の外で,計画的避難区域とするほどの地域的
 な広がりはないものの,事故発生後1年間の積算放射線量が20mSvを超えると
 推定される地点」のことを指します。

  指定の効果としては,指定を受けた住民が避難をすると国民健康保険の一部負
 担金や固定資産税,NHK受信料等の免除措置を受けることができるという制度
 が組まれ,同地点の指定を受けた住民及びその周辺に居住する住民に対して東
 電力から精神的苦痛に対する慰謝料として月額10万円が支払われていました。

  原告が取消しを求める理由は,①公衆の被ばく限度が年間1mSvを超えないこ
 とを確保するべき国の義務に反する,②政府が放射線防護の基準とする国際放射
 線防護委員会(ICRP)の勧告に反する,③政府が事前に定めた解除の手続
(新たな防護措置の実施計画の策定、住民等の意思決定への関与体制の確保)を経
 ずに解除を強行した,の3点です。

  これに対して被告は,解除には処分性がない,年間20mSv基準は国のワーキ
 ンググループの報告に照らしても相当であり,ICRP勧告に照らしても相当で
 ある等と反論しています
(詳細な状況に関しては, http://minamisouma.blogspot.jp/ をご参照ください)

  私も弁護団の一員として現地の視察や陳述書の作成のため,何度も現地に足を
 運んでいますが,目の前には南相馬の美しい自然がそのまま残っているにもかか
 わらず,目に見えない放射線の影響に怯えなければならないという現状には激し
 い憤りを感じます。

  少し前までは全くの部外者であった私ですらそのように思うのですから,ご家
 族と共に長年南相馬に暮らしてきた原告の方々のお気持ちは言わずもがなです。

  本訴訟は,国が避難解除の基準として用いる年間20ミリシーベルト基準を問
 うものであり,本訴訟の判決では,今後の避難政策にも影響を与えうる重要な判
 断がなされるものと思います。

  原発事故によってそれまでの平穏な生活を奪われた住民の方々のためにも,少
 しでも良い判決を得ることができるよう尽力して参りたいと思います。
(弁護団では随時新規団員を募集しています。ご興味のある方は sukegawa@tokyo-
 seiwa.jp までご一報ください!)

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  修習生だより
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                       69期司法修習生  稲垣 孟志

  はじめまして。69期司法修習生の稲垣孟志と申します。今月から、熊本におい
 て実務修習をしております。

  私が縁もゆかりもない熊本を修習地として希望したのは、これまで九州をほと
 んど訪れたことがなかったこと、食べ物やお酒が美味しいと聞いたこと、荘厳な
 熊本城や雄大な阿蘇の大自然があることなどの理由もありましたが、何より、熊
 本では法曹三者と修習生の関係が大変密であると耳にしたこと、そして、熊本市
 だけでも70万人という人口を擁し、多数の事件を抱えつつも、修習生が30人弱
 (69期は全員で25人、各班6~7人)という全員の顔が分かる人数で修習ができる
 ことに大きな魅力を感じたからです。

  私は現在、検察修習をしております。実務修習が開始してからちょうど2週間、
 修習の実質日数としてはまだ10日間ですが、すでに密度の濃い修習をさせていた
 だいております。

  検察修習では、最初に検事の方々にいくつかの実務的な講義をしていただいた
 後、4件の未決事件の配点を受けました。「甲」や「V」ではない実名が記載され
 た記録を読み、どのような補充捜査をするか、どのように取調べをするか等を考
 えながら、終局処分を見据えて事件を処理していくことは、自分の目で見ていな
 い事実を探求していく面白さがあり、とてもやりがいを感じます。

  他方で、被害者やその家族、被疑者の家族の心情を聞いたり、被疑者の人生を
 大きく左右する業務であることを日々感じたりすると、その責任の重大さに身の
 引き締まる思いです。

  電話の受け答えや文書の書き方から補充捜査や取調べの進め方まで検事の方々
 に丁寧にご指導いただき、自分の未熟さを痛感する毎日ですが、一つ一つ吸収し
 て成長していけるよう、一日一日を大事にして、今後の修習も頑張ってまいりた
 いと思います。

  さらに、検察修習では、

司法解剖や刑務所見学もさせていただきました。今ま
 で見る機会のなかった捜査の端緒や刑の執行の部分について自分の眼で見ること
 ができ、法曹三者は、多くの他のプロフェッショナルの方々に支えられて業務を
 行っていることを実感しました。

  今後も、法曹三者のみならず、全ての人々に感謝の気持ちを持って、修習生活
 を送っていきたいと思います。

  さて、修習以外の時間に目を向けると、バラエティに富みつつも行動しやすい
 人数規模の修習生で、食事や旅行を楽しんでおります。

  平日には、馬肉に阿蘇の赤牛、天草の魚介、辛子レンコンなどをつまみに焼酎
 を飲み、熊本ラーメンで〆るというこの上ない食事をし、週末には、九州の中央
 にあるという地の利を生かし、今月には大宰府や別府、来月には長崎へ行くなど、
 こちらも非常に充実した日々を過ごしております。

  また、3月には天草のハーフマラソンに出場する予定で、私も最近ランニングを
 始めました。

  最後になりましたが、熊本においても、初日から稲門法曹の先輩に2次会へ連れ
 て行っていただくなど、稲門法曹の絆の強さを感じ、大変心強く思いました。

  今後とも、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

  熊本でも雪がちらつくなど、非常に寒い日が続いておりますので、お身体ご自
 愛下さいませ。

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  2016年度稲門法曹会総会・記念講演会・懇親会の日程が決まりました
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  2016年度稲門法曹会総会・記念講演会・懇親会(合格祝賀会)の日程が
 決定致しました!どうぞご予定くださいますようお願いいたします。

  日時:2016年10月29日(土)

  場所:リーガロイヤルホテル東京

  ★2016年度のホームカミングデー対象修習期は下記の方々です。
    3期、8期、13期、18期、23期、28期、33期、38期、
    43期、48期、53期、58期、63期、68期

   是非この機会にお誘い合わせの上ご出席ください。
   懇親会ではホームカミングデー対象修習同期での記念撮影も行います。

   なお、司法試験合格者の皆様には、今年も記念品として稲門法曹会
   オリジナル名刺入れを無料で贈呈する予定です。
   ぜひ奮ってご参加ください。詳細は下記URLをご参照ください。
            http://waseda-legal-alumni.jp/?p=314

 ※2015年度総会・懇親会の様子は稲門法曹会ホームページ、Facebookでも
  ご覧いただけます。

     稲門法曹会HP http://waseda-legal-alumni.jp/?p=346

     Facebook https://ja-jp.facebook.com/waseda.legal.alumni/

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  ご支援・ご協力のお願い
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  本学の伝統を受け継ぎ、進取の精神をもって法のもとに正義を貫く志の高い優
 秀な稲門法曹を一人でも多く育成することを念願し、法科大学院の学生のための
 奨学金として「稲門法曹奨学金」を創設し、これまで支援を行ってまいりました。

  法曹として第一線で活躍されている校友および関係者に募金を呼びかけ、これ
 まで多額の浄財が寄せられております。稲門法曹の皆様の熱意に厚く御礼申し上
 げるとともに、引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 ・稲門法曹奨学金へのご支援のお申込:こちらをご参照ください。
        http://www.waseda.jp/folaw/gwls/alumini/support/